身元保証人と成年後見人は、高齢者が安全で快適な生活を送るために必要なサポート役ですが、役割と責任は異なります。身元保証人は経済的な保証が中心ですが、ほかにも成年後見人は法的な保護と全面的な福祉を提供します。この記事では、それぞれの適用範囲と職務内容について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
身元保証人の役割
高齢者の生活の中で、身元保証人が求められる状況はいくつか存在します。ここでは、特に重要な身元保証人の役割について3点説明します。
入院時の身元保証
医療機関において、患者の入院時に身元保証人を要求することが一般的となっています。患者が医療費を支払う能力を持っているか、また緊急時に連絡を取れる人物がいるかを確認するためです。
具体的に身元保証人に求められるのは、治療費用の支払い保証および緊急連絡先としての機能です。患者が治療費を支払えない場合、身元保証人が責任を負います。
また、患者の状態に急変があった場合や治療方針に関する決定が必要になった際には、医療機関から身元保証人へ連絡が入ります。
介護施設の入居時
介護が必要になった際に施設への入居を考える場合、身元保証人の存在が求められることがあります。施設によっては、身元保証人に加えて連帯保証人の指定を求める場合も多いです。
身元保証人は、入居者が施設費用を支払えない場合に支払いを保証するほか、緊急時の連絡先としての役割や医療手続きのサポートを担います。
被保証人の死亡時
高齢者が亡くなった場合、身元保証人には多くの責任が発生します。特に、病院や介護施設での死亡時には、身元保証人が遺体の引き取りを行い、葬儀の準備や必要な手続きを進めることが必要です。
また、施設に入居していた場合は、退去処理や遺品の整理、未払いの料金の精算なども身元保証人の責務となります。
成年後見人の役割
成年後見人は、判断能力が不十分な成人を保護し、権利と利益を守るために設けられた法的な役職です。
家庭裁判所によって選任される成年後見人は、親族だけでなく、法律や福祉の分野に精通した専門家、さらには適切な法人も含めて幅広い候補から選ばれます。必要に応じて複数の後見人を設定することも可能です。
成年後見人には、主に以下のような重要な役割があります。
財産管理
成年後見人は、財産を管理し、最善の利用と保全を図ります。金融機関との取引、日常の生活費用の管理、年金や不動産からの収入管理、不動産の売買や賃貸契約など、幅広い活動が含まれます。
身上監護
身上監護に関わる仕事は、本人の日常生活のサポート、医療や介護サービスの手配、要介護認定の手続き、住居の確保など、本人が安心して生活できるような環境を整えることです。
また、本人の意向を尊重し、人として尊厳ある生活が送れるよう配慮することも含まれます。
家庭裁判所への報告
成年後見人は、管理している財産状況や後見活動の内容について、原則として年に一度、家庭裁判所に報告を行います。後見活動の透明性が保たれ、本人の利益が適切に守られているかを裁判所が監督します。
身元保証人と成年後見人の違う点
成年後見人と身元保証人は、高齢者をはじめとする判断能力が不十分な人々をサポートする制度に関わる重要な役割ですが、職務内容と責任の範囲には顕著な違いがあります。
違いを理解することは、適切な支援体制を確立するために不可欠です。
法的地位の違い
成年後見人が法律に基づいて家庭裁判所により選任される点です。成年後見人は、被後見人の財産管理と日常生活のサポート、法的手続きの代行などを行います。
対して、身元保証人は特定の契約下で経済的責任を保証する人物で、主に高齢者が施設に入居する際や医療サービスを利用する際の経済的な義務を担います。
責任範囲の違い
成年後見人は被後見人の全般的な福祉を考慮した広範な職務を担当します。財産管理から生活サポート、医療や福祉サービスの手配まで、被後見人の利益を守るための多岐にわたる活動を行います。
一方で、身元保証人の役割は主に経済的な責任に限定され、高齢者の施設入居費用や医療費の支払いを保証することが中心です。
緊急時対応の違い
身元保証人は高齢者が直面する緊急事態に対して、直接的な対応を期待されます。緊急時の連絡先として機能し、必要な支払いを保証するなど、即座に行動を取る必要があります。
対し成年後見人は、そうした即時の対応よりも、長期的なサポートと管理を主な責務とし、緊急時の対応は含まれていない場合が多いです。
まとめ
身元保証人は主に経済的な責任を負う立場であり、高齢者が医療や介護施設など特定のサービスを利用する際に求められることが多いです。身元保証人は高齢者が費用を支払う能力があることを保証し、緊急事態に対する連絡先として機能します。
一方で成年後見人は、判断能力が不十分な成人の法的な利益と福祉を保護する役割です。家庭裁判所によって選任され、被後見人の財産管理や身上監護、さらには家庭裁判所への定期報告といった職務を実行します。身元保証人が経済的な側面に焦点を当てるのに対し、成年後見人はより広範な保護と管理を担う点が明確に異なります。
高齢者の生活や判断能力に応じて適切なサポート体制を整えるためには、これらふたつの役割を正しく理解し区別することが重要です。
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