みなさんは「終活」という言葉を知っていますか。終活では、不用品の片付けや遺言書の作成、お葬式・お墓の準備など、さまざまなやるべきことがあります。
その中のひとつに「エンディングノート」があります。遺言書よりも気軽に作成できるので、まずはエンディングノートの作成から終活を始めてみましょう。
エンディングノートについて
エンディングノートとは、自分自身に万が一のことがあったときに備えて、さまざまな情報や想いを書き留めておくノートです。記載内容に特に決まりはありませんが、遺されたご家族に向けて自分の情報を伝えることが主な目的です。
エンディングノートは、法的な効力を持ちません。相続に関する事柄は、遺言書を作成するようにしてください。
準備
まずは、エンディングノートを準備しましょう。エンディングノートの素材や形式は自由です。
近年では、書店や文具店でもさまざまな形式のものが販売されています。また、自治体によっては無料配布しているところもあります。自分に適したノートがなかなか見つけられないという方は、法務局が作成しているエンディングノートをダウンロードして使用するのもおすすめです。これらはすでに記入すべき項目が用意されているため、あまり悩まずに作成を始められます。
そのほかにも、お手持ちのノートや大学ノートなど、身近なものをオリジナルのエンディングノートにすることも可能です。直筆でなければならないという決まりもないので、パソコンの文書作成ソフトでも問題ありません。
記載事項
エンディングノートはその響きから、自分の死後のためのノートと認識されることが多いでしょう。しかし、エンディングノートは認知症や重い疾患などで自分の意思を伝えにくくなってしまった場合にも役立ちます。死後だけでなく、生前に読んでもらうことも意識しながら書いていくことがおすすめです。
ここからは、エンディングノートに書いておくべき項目を6つに分けて解説していきます。
気になること・各種手続きについて
1つ目は、気になることや各種手続きについてです。普段使っているパソコンやスマートフォンには、個人情報がたくさん保存されています。使用履歴の削除や解約手続きをしてもらうための情報を記載しておきましょう。
たとえば、端末へのログイン情報、登録しているWebサイトのIDやパスワード、SNSアカウントのIDやパスワード、オンライン口座や電子マネー関連、サブスクリプションなどの有料サービスの解約方法などが挙げられます。
また、一人暮らしでペットを飼っている方は、そのペットに関する情報や預け先についても記載しておきましょう。
もしものときの連絡先
2つ目は、もしものときの連絡先についてです。自分にもしものことがあったときのために、連絡をして欲しい人の連絡先や連絡方法について記載しておきましょう。
具体的には、連絡して欲しい人や職場関連のリスト、電話番号やEメール、コミュニケーションアプリの連絡先、その人との関係性などが挙げられます。
また、自分がどのような状況のときに連絡をして欲しいかについても記載することをおすすめします。段階として、入院、危篤、死去、葬儀といったように具体的に示しましょう。
医療介護の希望
3つ目は、医療や介護に関する希望についてです。これは、もしも病気で重篤な状態になったり、意思の疎通が困難になったりした場合のための項目です。
医療関連については、緩和治療や延命処置をしてほしいかどうかといった内容を記載しましょう。介護関連については、自宅介護と施設入所のどちらを希望するかといった内容を記載しましょう。
医療や介護に関する決定権を家族にゆだねることは、精神的に大きな負担を与えてしまうことにつながります。家族が迷いや後悔なくあなたを看取れるように、あらかじめ自分の意思を固めておくことが大切です。
また、加入している医療保険や介護保険がある場合には、保険会社の名前や保険証券の置き場所なども記載してください。
葬儀・お墓について
4つ目は、葬儀やお墓についてです。
まずは、葬儀について解説していきます。葬儀に関する希望がある場合には、できるだけ細かく記載しておくと、家族の負担を減らすことができます。葬儀の形式や規模、呼んで欲しい人といった大まかな希望はもちろん、喪主の指名、葬儀費用、戒名、遺影などの細かな希望も記載しておきましょう。
また、葬儀社の会員制度や互助会などを利用している場合には、忘れずに記載してください。
次に、お墓について解説していきます。入りたいお墓がある方は、墓地名や所在地、区画番号を記載しましょう。お墓がない方は、どのような埋葬方法を希望するのかを記載しましょう。近年ではお墓を持っていても、樹木葬、散骨、納骨堂を選ぶ方も増えてきているので、家族が迷わないようにしっかりと伝えることが大切です。
葬儀やお墓に関する希望が特にない場合には、一任したい親族の氏名と、一任したい旨を記載すれば大丈夫です。
財産
5つ目は、財産状況についてです。所有している財産の一覧や、借入額、クレジットカード、電子マネーに関する情報を記載しておきましょう。これは、遺産分割や相続税の申告手続きに役立ちます。
具体的な記載情報としては、預貯金口座(金融機関名)証券口座(金融機関名)保険契約(保険会社名)不動産(所在地)自動車、貴金属、ローン、クレジットカード情報、株式・国債・投資信託などの金融商品、貸金庫、金、絵画、宝石などがあります。
形見分け
自分の形見として、特定の人に引き継いで欲しい物を記載します。
注意点
エンディングノートは、作成をしたら終わりではありません。遺された家族や親族の手に渡って活用されることで、初めて意味をなすものです。
最後に、エンディングノートの注意点について解説をします。せっかく作成したエンディングノートがより有用なものとなるように、しっかりと確認しておきましょう。
法的効力はない
エンディングノートには、遺言書のような法的効力はありません。
前述したとおり、財産や形見分けに関する情報や希望を記載することもありますが、これらはあくまでも「書いた人の希望」として伝わるだけにとどまってしまいます。また、場合によっては相続人に指名された人が困惑してしまったり、指名されなかった親族の不満がつのって争いの火種になってしまったりする可能性もあります。
身辺整理をするために作成したエンディングノートがきっかけで、遺族を混乱させてしまっては本末転倒です。そのため、エンディングノートと遺言書の違いをしっかりと理解しておくことが重要なのです。内容に応じて、うまく両者を使い分けることがおすすめです。
保管場所
作成したエンディングノートは、保管場所に十分注意してください。記載した内容によっても異なりますが、一般的にエンディングノートには、生存中には第三者に知られてはいけない情報がまとまっています。もしも情報が漏洩してしまったら、盗難や詐欺の被害にあう危険性もあります。
そのため、エンディングノートの保管場所や保管方法には細心の注意を払ってください。
おすすめの保管方法は2つあります。1つ目は、信頼できる人にノートを託すことです。親しい親族でもいいですし、金融機関で預かってくれるサービスを利用するという方法もあります。2つ目は、保管場所のみを伝えることです。エンディングノートの保管や管理は自身で行い、死後の事柄を託したい人にのみ保管場所を伝えておくという方法もあります。
まとめ
エンディングノートとは、人生の終わりやもしもの事態に備えて、自身の情報や想いを記録しておくものです。遺言書とは異なり法的効力はありませんが、家族へのメッセージとして活用されます。主に財産情報や医療介護の希望、葬儀の詳細、連絡先、ペットの世話などが含まれます。特に、遺族が混乱しないように詳細に記載し、ノートの保管方法にも注意を払う必要があります。エンディングノートは、残された家族がスムーズに対応できる手助けとなるため、終活の一環としておすすめです。
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